Letter

古気候学:フローストーンのU–Pb年代測定によって乾燥気候期に限定された南アフリカの初期ヒト族の記録

Nature 565, 7738 doi: 10.1038/s41586-018-0711-0

南アフリカの「人類のゆりかご」には、アウストラロピテクス属(Australopithecus)、パラントロプス属(Paranthropus)、ヒト属(Homo)を代表する化石ヒト族の標本が大量に保存されている。これらの化石の年代には異論が多く、そのため南アフリカのヒト族記録を人類進化の仮説検証に用いることが難しくなっている。一方で、炭酸カルシウム(フローストーン)の水平層のウラン–鉛(U–Pb)年代測定法を用いれば、確実な時系列を得る機会がもたらされる可能性がある。フローストーンは洞窟に遍在する特徴であり、理想的には閉鎖された洞窟において、有効降水量が増加する時期にのみ成長するため、古気候の状況に関する情報を得ることができる。今回我々は、人類のゆりかごの8つの洞窟のフローストーンの年代が、320万〜130万年前の6つの短い時間間隔に当たることを明らかにする。カーネル密度推定を用いることにより、29のU–Pb年代を統合してフローストーンの成長期に関する単一の記録を得た。我々はこれらの成長期が、主要な湿潤期(水の供給量の増大、植生被覆の範囲拡大、少なくとも部分的に閉鎖された洞窟によってフローストーンの中断されない半連続的な成長が可能になる時期)であったと解釈する。これらの湿潤期と湿潤期の間にはより乾燥した期間があり、ヒト族化石や他の化石は、洞窟が開放されたこの時期に蓄積された。従って、より乾燥した間隔期に限定された化石の保存は、ヒト族の進化史および行動に関する見方を偏らせるとともに、ヒト族を比較的乾燥に適応した動物相の群集に位置付けている。洞窟の閉鎖期によって南アフリカの化石記録に時間的な空白が生じるものの、フローストーン自体は局地的およびアフリカ全域の気候変動について貴重な手掛かりをもたらすものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度