がん:マンノースは腫瘍増殖を妨げて化学療法の有効性を増強する
Nature 563, 7733 doi: 10.1038/s41586-018-0729-3
腫瘍が細胞代謝の変化の影響を被ることは、現在では確証されている。このことによって腫瘍細胞の脆弱性を明らかにできる可能性があり、また、多くの腫瘍ではグルコースの取り込み上昇が見られるため、我々は腫瘍細胞がさまざまな種類の糖質にどのように応答するのかを調べてきた。本論文では、単糖であるマンノースが、複数タイプの腫瘍でin vitroでの増殖を遅らせ、複数の主要な化学療法に応答して起こる細胞死を増やすことを報告する。さらに、このような影響は、マンノース経口投与後のマウスでin vivoでも見られ、マウスの体重や健康状態には大きな影響がないことが分かった。機構としては、マンノースはグルコースと同じ輸送体により取り込まれるが、細胞内ではマンノース6-リン酸として蓄積し、これが解糖系やトリカルボン酸回路、ペントースリン酸経路、グリカン合成でのグルコース代謝の進行を妨げる。その結果、従来の化学療法と組み合わせてマンノースを投与すると、Bcl-2ファミリーの抗アポトーシスタンパク質のレベルに影響が及び、細胞死に対する反応性が高まる。また、マンノースに対する感受性は、ホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)のレベルに依存していることが分かった。PMIレベルの低い細胞はマンノースに対して感受性だが、PMIレベルの高い細胞はマンノース抵抗性である。しかし、RNA干渉によりPMIを大幅に減らすと、こうした細胞を感受性にできる。さらに、組織マイクロアレイを使って、PMIレベルは患者間や腫瘍タイプ間でも大きくばらつくことが分かり、PMIレベルはマンノース投与の成否を示すバイオマーカーとして使える可能性がある。マンノース投与は、簡便かつ安全で対象を選ぶがん治療法と考えられ、複数タイプの腫瘍で使える可能性がある。

