アルツハイマー病:アルツハイマー病のニューロンと正常なニューロンにおけるAPP遺伝子の体細胞組換え
Nature 563, 7733 doi: 10.1038/s41586-018-0718-6
ヒトの脳の多様性と複雑性は、不変のゲノム中にコードされていると広く考えられている。体細胞遺伝子組換えは、生殖系列DNA塩基配列を変化させて分子的な多様性を高める現象であり、理論的にはこの暗号を変化させ得るが、我々の知る限りでは、脳では体細胞遺伝子組換えは実証されていない。今回我々は、ヒトのニューロンにおいて、アミロイド前駆体タンパク質をコードするアルツハイマー病関連遺伝子であるAPPの組換えがモザイク状に起こり、数千種類の「ゲノム由来cDNA(gencDNA)」バリアントが生じることを報告する。gencDNAはイントロンを欠いており、発現した脳特異的RNAスプライシングバリアントの完全長cDNAコピーから、エキソン内での連結、挿入、欠失、一塩基変動などを含む、多数のより短いものまでさまざまだった。DNA in situハイブリダイゼーション法により、単一ニューロン内でgencDNAが特定され、これらは野生型の座位と異なり、ニューロン以外の細胞には存在していなかった。機構解析からは、ニューロンでのRNAの「レトロ挿入(retro-insertion)」によってgencDNAが生じることが裏付けられ、この過程には、転写、DNA切断、逆転写酵素活性、加齢が関与していた。孤発性アルツハイマー病患者のニューロンではgencDNAの多様性の増加が見られ、それらには家族性アルツハイマー病との関連が知られている11の変異(正常なニューロンには存在しない)が含まれていた。ニューロンでの遺伝子組換えにより、神経活動の「記録」が可能になり、スプライシングを迂回する望ましい遺伝子バリアントの発現を選択的に「再生」できるようになるかもしれない。これは、細胞の多様性、学習と記憶、可塑性、ヒト脳疾患に重要な意味を持つ。

