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発生生物学:INSM1の非存在下では外有毛細胞は内有毛細胞に分化転換する

Nature 563, 7733 doi: 10.1038/s41586-018-0570-8

哺乳類の蝸牛には機械感覚を担う有毛細胞が2種類あり、これらはそれぞれ聴覚に不可欠な異なる機能を有する。精巧なシナプス前装置を持つ内有毛細胞(IHC)は、蝸牛のニューロンに信号を送り、音情報を脳へ伝達する。一方、外有毛細胞(OHC)は、音に誘発された振動を機械的に増幅することで、音に対する感受性を高め、鋭敏な同調をもたらす。蝸牛の有毛細胞は発生の際にのみ生じ、有毛細胞の死(OHCの場合が多い)は難聴の最も一般的な原因である。OHCとIHCは、支持細胞と共に、胚の耳胞の予定感覚領域(prosensory region)から生じるが、有毛細胞がどのようにして2つの異なる種類へと分化するかは不明である。今回我々は、新生OHCで一時的に発現されるジンクフィンガータンパク質をコードする遺伝子Insm1が、IHCへの分化転換を防ぐことによってOHCの運命を確定させることを明らかにする。INSM1の非存在下では、OHCとして生じた有毛細胞の多くは運命を切り替えて成熟IHCとなる。Insm1が作用する遺伝的機序を突き止めるため、我々は、未熟なIHCとOHCのトランスクリプトーム、そしてINSM1が存在する場合と存在しない場合のOHCのトランスクリプトームをそれぞれ比較した。INSM1を欠くOHCでは、ある一連の遺伝子群の発現が亢進しており、それらの大半は通常はIHCで選択的に発現されているものだった。このような、INSM1を欠くOHCのIHCへのホメオティックな細胞転換は、これらの隣接した機械感覚細胞に差が生じ始める機構、つまり、INSM1が胚性OHCにおいて、初期のIHCで多く発現する遺伝子群のうち中心的な遺伝子を抑制し、それらをIHC誘導性の勾配に対して不応答にすることでOHCとして成熟させる、という道筋を明らかにしている。INSM1の非存在下では、本来ならIHCに多いこれら少数の転写産物の発現が亢進したOHCの一部が、IHCへと分化転換する。また、これによってIHC特異的な分化に関わる候補遺伝子が突き止められた。

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