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気候科学:ヨーロッパの森林を用いて気候目標を達成する際のトレードオフ

Nature 562, 7726 doi: 10.1038/s41586-018-0577-1

パリ協定は、二酸化炭素(CO2)排出量の削減を通して気候温暖化を止めるための道筋の1つとして、森林管理を奨励している。しかし、森林管理を通した炭素隔離による気候への恩恵は、地表面アルベド、地表面粗度、生物起源の揮発性有機化合物の排出、蒸散、顕熱フラックスが森林管理に起因して同時に変化するため、増強される可能性も、減殺される可能性もあり、さらには相殺される可能性すらある。そのため、森林管理によってCO2排出量が相殺されても、全球の気温上昇が止まらない可能性がある。故に、一般的に提案されている持続可能なヨーロッパの森林管理ポートフォリオが、パリ協定を満たすかどうか、すなわち大気中のCO2の増加率を低下させ、大気上部の放射不均衡を減少させるとともに、21世紀末までに地表面付近の気温を上昇させることも降水量を減少させることもないかどうかは、まだ確かめられていない。本論文では、炭素隔離、木材の使用と製品、エネルギー代替によって炭素シンクを局所的に最大化する管理システムで構成されるポートフォリオは、大気中のCO2の増加率を低下させるが、他の基準はいずれも満たさないことを示す。炭素シンクまたは森林アルベドを最大化するポートフォリオは、それぞれ異なる基準を1つ満たすだけである。一方、地表付近の気温を下げることを目的としたヨーロッパの森林管理は、大気中のCO2の増加率も低下させるので、4つの基準のうちの2つを満たす。従って、ヨーロッパの森林を用いて気候目標を達成しようとする場合、トレードオフは避けられない。さらに今回の結果は、現在の森林被覆が維持された場合の、森林管理を通して実現される付加的な気候への恩恵は、それほど大きくなく局所的であり、全球的ではないことを示している。我々は、これらの知見に基づいて、ヨーロッパは気候変動の緩和を森林管理に依存するべきではないと主張する。しかし、森林管理の変更による気候への影響がそれほど大きくないことは、将来の気候に適応するのにヨーロッパ全域の種組成や造林システムの大規模な変化が必要なのであれば、森林は、気候に正の影響も負の影響ももたらさずに気候変動に適応することを示唆している。

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