遺伝学:ありふれた遺伝的バリアントがまれな重度神経発達障害のリスクに寄与する
Nature 562, 7726 doi: 10.1038/s41586-018-0566-4
タンパク質コード配列に生じる単一の有害な遺伝的バリアントによって、数千ものまれなヒト疾患が引き起こされる。しかし、同一の遺伝的異常を持つ患者が異なる臨床症状を示すことがあり、また、疾患を引き起こすことが知られているバリアントを持っていても、それに影響を受けていないように見える人もいる。今回我々は、これらの違いを説明する要因を理解するために、臨床遺伝学者によって、全般的発達遅滞や自閉症などの重度神経発達障害(他の器官系の異常を伴うことが多い)と評価された6987人の小児からなるコホートについて調べた。これらの神経発達障害の遺伝的原因はほぼ完全に単一遺伝子性であると予想されるが、リスクの分散の7.7%が遺伝性のありふれた遺伝的変動に起因していることが分かった。同じコホートの独立した728のトリオ(小児1人とその両親から構成される)のデータから、このゲノム規模のありふれたバリアントが、両親から神経発達障害の小児へと過剰に伝達されていることが明らかになり、このバリアントの量と疾患との関連が再現された。我々のありふれたバリアントのシグナルは、より低い学歴、低下した知能、統合失調症のリスクの遺伝的素因と有意に正の相関があった。ありふれたバリアントによるリスクは、診断に用いられる既知のタンパク質コードバリアントを保有しているか否かにかかわらず、個人間で有意差はないことが分かり、単一遺伝子性疾患と診断された人と、されなかった人の両方に影響を及ぼすと考えられる。さらに、自閉症、身長、出生体重、頭蓋内容積についてのこれまでに報告されたありふれたバリアントのスコアは全て、我々のコホート内のこれらの形質に相関したことから、単一遺伝子性疾患を有する個体の表現型発現は、一般集団と同じバリアントによって影響を受けると思われる。我々の結果から、ありふれた遺伝的変動が、通常は単一遺伝子性であると考えられている神経発達障害の全体のリスクと臨床症状の両方に影響を及ぼしていることが実証された。

