天文学:高赤方偏移の銀河周辺ではライマンα放射がほぼ全天を覆っている
Nature 562, 7726 doi: 10.1038/s41586-018-0564-6
銀河は、主に水素からなるガスの巨大なリザーバーに取り囲まれており、これらのリザーバーは銀河間物質からのインフローや、銀河風からのアウトフローによって供給されている。明るくまれな背景クエーサーの視線方向に沿った吸収線の計測によって、銀河を取り巻くこうした物質は、銀河に観測される星の光の範囲をはるかに超えて広がっていることが示唆されるが、その空間的な分布についてはほとんど分かっていない。波長121.6 nmの原子状水素のライマンα遷移は、特に地球上からスペクトル線が観測可能になる宇宙論的赤方偏移が1.6より大きい銀河の内部や周辺の温かい(約104 K)ガスの重要なトレーサーである。ライマンα放射を通した宇宙の水素の追跡は、長年にわたる観測天体物理学の目標であるが、空間的に広がった放射の極端に低い表面輝度が大きな妨げになっている。最近、高赤方偏移の銀河周辺の水素が放射する偏在的な広がったライマンα輝線が発見され、銀河周辺環境の探索に向けて新たな窓が開かれた。こうした放射は暗いため、これまでそうした計測は、特に条件の良い系や大量の統計平均での使用に限定されていた。本論文では、赤方偏移が3〜6に位置する、暗い銀河を取り囲む表面輝度の低いライマンα輝線の観測について報告する。これらを天球に投影すると、ほぼ100%を覆うことが明らかになった。これに対応する頻度(任意の視線方向上にあるライマンα輝線を放射する天体の平均数)は1を優に超え、遠方のクエーサーのスペクトルにしばしば検出される柱密度の高い吸収天体の頻度と同程度である。この類似性は、こうした赤方偏移に位置する銀河周辺の原子状水素の大半が、現在では放射で検出されていることを示唆している。

