Letter
ウイルス学:直交型のプロテオームサーベイにより明らかになった新規なジカウイルス宿主因子
Nature 561, 7722 doi: 10.1038/s41586-018-0484-5
ジカウイルス(ZIKV)は最近、その広範囲にわたる拡散や新生児で見られる重篤な神経学的症状や小頭症との関連によって、世界的な健康問題となりつつある。しかし、ZIKVの病原性の原因となる分子機構についてはほとんど分かっていない。今回我々は、ヒト神経前駆細胞と神経細胞株SK-N-BE2を使い、プロテオミクスデータを統合化する手法を用いて、ウイルス感染に対する細胞応答の特徴をプロテオームおよびリン酸化プロテオームのレベルで明らかにし、さらに親和性プロテオミクスによってZIKVタンパク質群の神経細胞内標的を特定した。この手法を用いて、ZIKVと相互作用する386のタンパク質、ZIKV特異的活性を持つタンパク質やフラビウイルス全体に対して活性を持つタンパク質に加えて、神経発生、網膜異常や不妊での機能が知られている宿主因子が特定された。さらに、我々の解析によって、ZIKV感染後に限定して上向きあるいは下向きの調節が見られる1216のリン酸化部位が明らかになり、AKT、MAPK–ERK、ATM–ATRなどの基本的なシグナル伝達経路の大規模な改変が起こることが示され、ZIKV感染によって引き起こされる増殖停止の機構に関する手掛かりが得られた。機能に関しては、今回の統合的研究によってZIKVの宿主依存性に関わる因子が特定され、またZIKVによってタンパク質レベルや細胞経路レベルで引き起こされる撹乱をシステムレベルで理解するための包括的枠組みが得られた。

