天体物理学:地球の弧状衝撃波の上流における高エネルギーイオンの内在的で効率的な加速
Nature 561, 7722 doi: 10.1038/s41586-018-0472-9
地球とその磁気圏は、惑星間空間を満たす太陽風プラズマの超音速流の中にある。太陽風は、地球などの障害物を回りこんで流れるために減速し偏向すると、流れの中に「弧状衝撃波(バウショック)」が形成される。ほとんど全ての太陽風の条件の下で、地球のそれに似た惑星の弧状衝撃波は無衝突性で超臨界的な衝撃波である。これは、弧状衝撃波がエネルギー散逸機構として入射太陽風イオンの一部を反射し加速していることを意味しており、その結果イオン・フォアショックと呼ばれる領域が形成される。このフォアショック中では、「高温異常流」などの大規模な過渡現象が発達することがある。高温異常流は、上流の磁場にある特定の構造に沿って運ばれて蓄えられ、衝撃波面で反射された超熱的イオンが濃集したものである。高温異常流は爆発的に発達するため、その上流縁に沿って新しい衝撃波が形成されることが多く、粒子の加速に寄与している可能性があるが、この加速を絞り込む観測結果や根底にある機構を裏付ける観測結果はこれまでなかった。本論文では、太陽風イオンをおよそ1〜10 keVから1000 keV近くまで加速する、高温異常流を観測したことについて報告する。加速機構はイオンの質量と荷電状態に依存し、一次フェルミ加速に矛盾しない。我々が観測した加速は、地球の弧状衝撃波と太陽風との相互作用のみに起因するが、生成される高エネルギー粒子の数は、弧状衝撃波での加速によりフォアショック内で典型的に生成されると考えられるものよりはるかに多い。準平行弧状衝撃波(その法線方向と惑星間磁場の方向のなす角が約45°以内の衝撃波)でのこうした内在的で効率的な加速からは、フェルミの「注入問題」の解が得られる可能性がある。この問題には、高エネルギー粒子の種となる未解明の粒子が必要であり、宇宙の至る所にある天体物理学的な衝撃波における宇宙線の生成において、フォアショックの過渡現象が重要である可能性が示唆される。

