材料科学:事前に集合させたコロイド・ペンローズタイルのブラウン運動準結晶
Nature 561, 7721 doi: 10.1038/s41586-018-0464-9
ペンローズの五角形P2準結晶は、階層的に組織化されたマルチスケールの美しい構造体である。そうした構造体では、まずたこの形のタイルと矢尻の形のタイルを配置して星形五角形などの局所モチーフが形成され、次にこのモチーフを配置することで、より長い長さスケールで次第に複雑化する種々の最密超構造パターンが形成される。ハードマターやソフトマターにおいて特定のタイプの準周期的構造が観察されているが、そうした構造は、構成要素間に必要となる非常に特異的な相互作用を生じせることが難しいため、特に大面積になると設計・作製が困難になる。これまで報告されたデンドリマー、トリブロック共重合体、ナノ粒子、ポリマーミセルからなるソフトマター準結晶は、12回対称か18回対称に限られていた。複雑なコロイド構成要素を自己集合させて動的な低欠陥超構造を形成する手法が制限されているため、光学的集合化や誘導集合化などを用いる、代わりの手法が探られている。過去に、ホログラフィックレーザーピンセットや光定在波を用いて、微小球が局所的な準結晶配列に保持された例や、2種類のサイズの磁性微小球を集合させて局所的な二次元5回対称準結晶配列が実現された例がある。しかしこれまでのところ、可動コロイドタイルのペンローズ準結晶は、大面積では作製されていない。今回我々は、そうした二次元準結晶を、事前に集合させたたこ形と矢尻形のタイルをリソグラフィー印刷して次に枯渇剤含有溶液分散系へ放出する、という高度に並列化可能な方法を用いて作製したことを報告する。放出後、準結晶内のタイルの位置と向きを変えることができ、これらは隣接タイルと頻繁に衝突するため、系が平衡に達した後でも単層中でランダムなブラウン運動をする。我々は、光学顕微鏡法を用いて、高いタイル密度での系の平衡ゆらぎと、タイル密度の低下とともに起こるパターンの「融解」を調べた。その結果、高いタイル密度において、6回対称の六方液晶に似た5回対称の五方液体準結晶相の特徴が見いだされた。今回の作製方法は、さまざまなサイズ、形状、初期位置、初期配向のタイルに適用できるので、現行の自己集合法や誘導集合法の枠を超えて二次元準結晶系(および高いタイル密度でマルチスケールの複雑さを有するその他の系)の形成を可能にする。リソグラフィー法で事前集合させた単層を作製する今回の手法を拡張すれば、ホログラフィックリソグラフィー法やステレオリソグラフィー法で形状をカスタム設計したゆらぐ粒子の三次元ブラウン運動系を実現できると、我々は予想する。

