Letter

量子物理学:三次元光格子中の極低温原子の並べ替えによるマクスウェルの悪魔の実現

Nature 561, 7721 doi: 10.1038/s41586-018-0458-7

1872年、マクスウェルは有名な「悪魔」の思考実験を提唱した。それは、マクスウェルの悪魔は、気体中のどの粒子が高温でどの粒子が低温かを見分けて一連の可逆的操作を行うことで粒子を再配置し、エントロピーが明らかにより低い状態にすることができるというものである。この熱力学第2法則の見かけ上の破れは、20世紀の理論研究によって解決された。すなわち、宇宙のエントロピーは情報収集中に増えることが多く、悪魔の記憶に伴うエントロピーの増大が不可避なのである。この思考実験の面白さから、「悪魔的な(demon-like)」と表現される多くの実験が実際に行われるようになった。しかし過去の実験は、中間情報記憶がなかったり、系のエントロピー変化がほんのわずかであったり、4個以下の粒子の系が関与するものであったりした。今回我々は、マクスウェルの思考実験の本質を十分に捉えた実験を提示する。まず我々は、約60個の原子でランダムに半分充填した三次元光格子から始め、初期の乱れが主要なエントロピーになるように、振動に関して原子を十分低温にした。次に、原子の位置を決定した後、一連の可逆的操作を行い、明らかに低エントロピー状態である、完全に充填した副格子を形成した。この並べ替え過程によって、系の総エントロピーが2.44分の1に低下した。今回の高充填極低温アレイは、中性原子量子コンピューターの出発点として用いられる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度