分子生物学:NORAD lncRNAはゲノム安定性に重要なトポイソメラーゼ複合体を組み立てる
Nature 561, 7721 doi: 10.1038/s41586-018-0453-z
ヒトゲノムには数千の長鎖ノンコーディングRNAが含まれているが、それらの特異的な生物学的機能や生化学的機構が明らかになっているのはわずか10個ほどである。NORAD(non-coding RNA activated by DNA damage)という特定の長鎖ノンコーディングRNAは、最近、ゲノム安定性の維持に必要であることが示されたが、その分子機構は分かっていない。今回我々は、RNAアンチセンスによる精製(RNA antisense purification)と定量的質量分析を組み合わせて、生細胞において直接NORADと相互作用するタンパク質を特定した。NORADは、定常状態の細胞においてDNAの複製や修復に関与するタンパク質と相互作用しており、複製ストレスやDNA損傷による刺激に際して、核に局在することが分かった。特に、NORADはDNA損傷応答の構成要素であるRBMXと相互作用し、NORADはトランスクリプトーム中で最も強力なRBMX結合部位を含んでいる。NORADは、RBMXの能力を制御して、リボ核タンパク質複合体を組み立てる。この複合体には、ゲノム不安定性の既知の抑制因子であるトポイソメラーゼI(TOP1)、ALYREF、PRPF19–CDC5L複合体が含まれており、我々はこれをNARC1(NORAD-activated ribonucleoprotein complex 1)と名付けた。NORADあるいはRBMXを除去した細胞は、染色体分離異常の頻度上昇、複製フォーク速度の低下、細胞周期進行の変化を示した。こうした表現型は、TOP1やPRPF19–CDC5Lの機能と関連している。NORADをトランスに発現させると、NORADの除去によって引き起こされる異常を救済できるが、NORADのRBMX結合部位を欠失させると、救済は著しく損なわれた。我々の結果から、NORADとRBMXの間の相互作用がNORADの機能に重要であり、これまで知られていなかったゲノム安定性の維持に関与するトポイソメラーゼ複合体NARC1の組み立てに、NORADが必要であることが実証された。さらに、RNA結合タンパク質の能力を調節して、より高次のリボ核タンパク質複合体を組み立てるという、これまで知られていなかった長鎖ノンコーディングRNAの機能が明らかになった。

