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分子生物学:CPEB4のスプライシング異常による自閉症様表現型とリスク遺伝子mRNAの脱アデニル化
Nature 560, 7719 doi: 10.1038/s41586-018-0423-5
自閉症スペクトラム障害(ASD)のリスク遺伝子バリアントは一般的な遺伝的要因であるが、それらの個々のバリアントの効果量は極めて小さい。神経発達を乱す環境要因も特発性ASDの原因となるため、神経発達中に複数のASDリスク遺伝子を統御する可能性のある、変化した調節因子を特定することは非常に重要である。CPEB(cytoplasmic polyadenylation element binding protein)1–4は、特定のmRNAのポリ(A)鎖を変化させてその翻訳を調節し、それによって胚発生やシナプス可塑性に関与する。今回我々は、CPEB4が、ほとんどの高信頼度ASDリスク遺伝子の転写産物に結合することを見いだした。特発性ASDの患者の脳では、CPEB4の転写産物アイソフォームに不均衡が見られ、これはニューロン特異的なマイクロエキソンの含有が減少したことによる。加えて、トランスクリプトームの9%でポリ(A)鎖が短縮していた。興味深いことに、この割合は、高信頼度ASDリスク遺伝子でははるかに高く、ASDリスク遺伝子のタンパク質産物の発現低下と相関関係を示す。マウスでのCPEB4転写産物アイソフォームの同様の不均衡は、ヒトでのASDリスク遺伝子のmRNAポリアデニル化やタンパク質発現の変化を模倣し、ASD様の神経解剖学的、電気生理学的、行動学的な表現型を引き起こした。以上よりこれらのデータは、CPEB4がASDリスク遺伝子の調節因子の1つであることを明らかにしている。

