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構造生物学:昆虫嗅覚受容体Orcoのクライオ電子顕微鏡構造
Nature 560, 7719 doi: 10.1038/s41586-018-0420-8
嗅覚系は、環境中の非常に多様な化学物質を識別しなくてはならない。そのような多様性に対処するために、昆虫はにおい物質によってゲート開閉するイオンチャネルのファミリーを進化させてきた。このイオンチャネルは、1個の非常によく保存された共受容体(Orco)と、多様なにおい物質受容体(OR、化学的特異性を知らせる)のうちの1つから構成される。今回我々は、イチジク寄生バチの一種であるApocrypta bakeri由来のOrcoホモマーについて、単粒子クライオ(極低温)電子顕微鏡法による3.5 Å分解能での構造を示し、この受容体ファミリーに関する構造学的な知見を提供する。Orcoは新規なチャネル構造を持ち、4つのサブユニットが中央の小孔の周囲に対称的に配置されていて、小孔は細胞質ゾルに向かって開く4つの側方導管に分岐している。Orco四量体は、膜内ではサブユニット間相互作用がほとんどなく、細胞質側にある小さな係留ドメインによってまとめられている。OR間で保存されている最小配列は、大部分が小孔と係留ドメインに位置付けられる。このことは、この受容体ファミリーの構造が、どのようにしてその著しい配列多様性を受け入れ、におい物質へのチューニングの進化を促進してきたかを解明する手掛かりとなる。

