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地球科学:海洋のpHと地球の気候を長期的に安定させる逆風化

Nature 560, 7719 doi: 10.1038/s41586-018-0408-4

地球史の最初の40億年間の気候には、太陽光度が現在よりも低かったにもかかわらず、明らかに安定していて温暖という特徴があった。大気中の高い二酸化炭素分圧(PCO2)を維持するための機構がいくつか提案されており、こうした機構は、地球の地殻の風化の減少、すなわち大気からの二酸化炭素の除去効率の低下を主軸としている。しかし、こうした機構の有効性は、まだ議論の的になっている。今回我々は、全球炭素循環モデルを用いて、海洋と大気への炭素の分配を調節する要因の1つである海洋のpHを支配する過程の変化を調べた。その結果、「逆風化」、つまり海洋における自生粘土の生成時のアルカリ性の滅失と酸性の出現の速度が増大して、海洋–大気系に保持される炭素量が増えることにより、PCO2の基準値が上昇することが見いだされた。現在この過程は反応速度が遅いため抑制されているが、ケイ酸塩に富む状態が広がっていた状況下(地球の初期の海洋では支配的だった)では、逆風化の速度はより高いレベルで維持されていただろうと、我々は提案する。海洋および炭素とケイ素の共役循環のこうした独特な状況によって、先カンブリア時代の大半の特徴である安定した氷のない環境が持続したと思われる。さらに我々は、この期間に海洋のpHと自生粘土の生成の間に強い負のフィードバックが確立し、地球史の大半を支配していたと思われる自然のサーモスタットの重要な要素であるPCO2の大きな振幅が緩和されて、気候の安定性が高まったと考えられることも提案する。我々は、後に珪質生物が生態環境に出現・増加し、その結果、ケイ酸塩に富む状況が衰えて逆風化の緩衝機能が弱まり、地球の気候系が不安定化してPCO2の基準値が低下したと推測する。

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