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分子生物学:Clr4(Suv39h)の自己メチル化誘導性のコンホメーション切り替えはエピジェネティックな安定性を維持する

Nature 560, 7719 doi: 10.1038/s41586-018-0398-2

ヒストンH3リシン9のメチル化(H3K9me)は、ヘテロクロマチンの遺伝子サイレンシングを仲介しており、ゲノムの安定性や遺伝子発現の調節に重要である。ヘテロクロマチンの確立やエピジェネティックな状態の維持には、DNAの特定の部位へのH3K9メチルトランスフェラーゼの誘導と、それに続くそのメチルトランスフェラーゼによる既存のH3K9meの認識および近位のヒストンH3のメチル化が関与している。この正のフィードバックループは、遺伝子の有害なエピジェネティックサイレンシングを防止するために厳密に調節されなければならない。ヒストン脱メチル化あるいは境界エレメントが関与する外因性の抗サイレンシング機構は、不適切なH3K9meの広がりを制限するのを助ける。しかし、H3K9メチルトランスフェラーゼの活性が局所に限定される仕組み、あるいはランダムなH3K9meの発生(これは異常な遺伝子サイレンシングやエピジェネティックな不安定性につながる)を防ぐ仕組みは完全には明らかになっていない。今回我々は、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)の保存されたH3K9メチルトランスフェラーゼClr4(別名Suv39h)の自己抑制性コンホメーションを明らかにし、これが異常なヘテロクロマチン形成の防止に非常に重要な役割を担っていることを報告する。生化学的データおよびX線結晶学データから、Clr4の内部ループは、ヒストンH3K9基質結合ポケットをふさぐことでこの酵素の触媒活性を抑制し、そしてこのループの特定のリシンの自己メチル化が、Clr4のH3K9me活性を高めるコンホメーションへの切り替えを促進することが分かった。この調節を乱すと予測される変異は、異常なH3K9me、ヘテロクロマチンドメインの喪失、増殖阻害を引き起こすことから、H3K9meの蓄積の調節やエピジェネティックな不安定性の防止にClr4の内因性の抑制や自己活性化が重要であることが実証された。Clr4の自己調節ループは他のH3K9メチルトランスフェラーゼでも保存されており、ホモログであるヒトSUV39H2の対応するリシンでも自己メチル化が起こることから、今回の機構は広く保存されていると考えられる。

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