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分子生物学:イノシトールリン酸はHIV-1集合の補助因子である

Nature 560, 7719 doi: 10.1038/s41586-018-0396-4

ウイルスの構造タンパク質Gag中のSP1と呼ばれる短い領域は14個のアミノ酸からなり、HIV-1ウイルス粒子形成の際に重要な役割を担う。ウイルス粒子の集合の際には、SP1ペプチドとそれに先立つ7つの残基が折りたたまれて6ヘリックスバンドルとなってGag六量体をまとめる働きをし、ウイルス膜の下側にある湾曲した未成熟六方格子の形成を促進する。ウイルス粒子の集合と出芽が完了するとGagのタンパク質分解が起こってウイルスが成熟し、未成熟格子も分解される。次いで、遊離したGagのCAドメインが再び集合して円錐状の成熟キャプシドを形成し、ウイルスゲノムおよびそれと結合している酵素とを囲い込む。6ヘリックスバンドルの折りたたみとタンパク質分解は、Gagの集合と解体の両方に重要な律速段階であり、この6ヘリックスバンドルはHIV-1阻害剤の標的の1つであることが確証されている。今回我々は、構造解析と機能解析を組み合わせることで、イノシトールヘキサキスリン酸(InsP6、別名IP6)が6ヘリックスバンドルの形成とHIV-1の未成熟なGag格子の集合を促進することを明らかにした。IP6は、Gag六量体の中心部にあるリシン残基が作る2つの環状構造とイオン結合する。次いでタンパク質分解によって別の結合部位が露出し、この部位にIP6が結合すると、成熟したキャプシド格子の集合が促される。これらの知見は、IP6がHIV-1のウイルス粒子の集合と成熟を促進する、自然界に存在する小分子であることを明らかにしている。

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