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医学研究:インスリンフィードバックの抑制がPI3K阻害剤の有効性を高める

Nature 560, 7719 doi: 10.1038/s41586-018-0343-4

インスリンで活性化されるホスファチジルイノシトール 3-キナーゼ(PI3K)のp110αサブユニットをコードするPIK3CAの変異と、PI3Kによって生じる脂質のホスホイノシチドを分解するホスファターゼをコードするPTENの機能喪失変異は、ヒトのがんで最も高頻度に見られる事象である。しかし、PI3Kを薬理学的に阻害すると、結果としてさまざまな臨床応答が生じるので、治療抵抗性については固有の機構が存在すると考えられる。p110αはインスリンに対する細胞応答の実際上全てに関わっているので、この酵素を標的として阻害すると、多くの組織でグルコース代謝が崩壊する。例えば、インスリンシグナル伝達が遮断されると肝臓でのグリコーゲン分解が促進され、骨格筋や脂肪組織でのグルコース取り込みが妨げられ、その結果、PI3Kの阻害から数時間以内に一時的な高血糖が起こる。この影響は通常は一過性で、それは膵臓から代償性のインスリン放出(インスリンフィードバック)が起こって正常なグルコース恒常性が回復するからである。しかし、程度がどれほどであれ、インスリン抵抗性が見られる患者では、高血糖が悪化したり長引いたりする可能性があり、こうした場合には治療の中断を余儀なくされる。我々は、PI3K阻害剤によって引き起こされたインスリンフィードバックは、腫瘍のPI3K–mTORシグナル伝達軸を再活性化して、治療の有効性を損なうかもしれないと考えた。本論文では、マウスの複数のモデル腫瘍では、この経路を標的とした阻害によって起こった全身性のグルコース–インスリンフィードバックだけで、PI3K阻害剤の存在下であっても、PI3Kシグナル伝達を活性化するのに十分であることを示す。このインスリンフィードバックは食餌あるいは薬理学的方法で防ぐことが可能であり、それによってPI3K阻害剤の有効性/毒性比は大きく改善される。これらの知見は、現在臨床試験中の多数のp110α阻害剤に臨床的に直接に関係するものであり、さまざまな種類の腫瘍の患者で治療の有効性を増大する方法をもたらすだろう。

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