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がん:遺伝と転写の進化が、がん細胞株の薬剤抵抗性を変化させる

Nature 560, 7718 doi: 10.1038/s41586-018-0409-3

ヒトがん細胞株は、がん研究に欠かせない主要なツールである。細胞株は、培養中に進化することが知られているが、その結果として生じる遺伝的および転写的な不均一性の程度や、その機能的影響については十分研究がなされていない。今回我々は、2つの研究室で培養された106のヒト細胞株のゲノム解析の結果を用いて、大規模なクローン多様性を明らかにする。一般的な乳がん細胞株MCF7の27系統について、さらに包括的なゲノム特性評価を行ったところ、急速な遺伝的多様化が明らかになった。追加の13細胞株の複数の系統でも同様の結果が得られた。特に、遺伝的変化は遺伝子発現プログラムの活性化における違いや、細胞の形態や増殖の著しい差異に関連していた。バーコーディング実験では、細胞株の進化は、培養条件に高い感受性を示す正のクローン選択の結果として起こることが明らかになった。単一細胞に由来するクローンの解析からは、継続的な不安定性が、即座に細胞株の不均一性へと変換されることが示された。27系統のMCF7で321種類の抗がん化合物を試したところ、薬剤応答性にかなりの違いがあること、すなわち、一部の系統を強く抑制する化合物のうち少なくとも75%は、他の系統では全く活性を示さないことが分かった。この研究は、細胞株内の遺伝的変動の程度、起源および影響について実証し、がん研究の再現性を最大限にするための取り組みにおいて、このような変動を計測するための枠組みを研究者に提供する。

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