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生態学:生態系の温暖化は植生活動期間を延長させるが低温への脆弱性を高める

Nature 560, 7718 doi: 10.1038/s41586-018-0399-1

植生の季節変化(フェノロジー)は、気候変動の生物学的な影響の重要な例である。しかし、温暖化が歴史的な変動の範囲を超えている状況で、こうした温度に駆動される傾向が今後も持続するのか、あるいは他の要因、例えば光周期などがより重要になるのかに関しては、大きな不確実性が存在する。今回我々は、デジタル反復撮影から得た季節変化の移行日を用いて、北方のクロトウヒ–ミズゴケ湿原において、全生態系の実験的な温暖化処理による最大+9°Cまでの温暖化が、優占木本種の秋の葉の老化(green-down)期の遅延および春の緑化開始(green-up)期の早まりと線形的に相関したことを明らかにする。これらの結果は、優占木本種および他の湿原植物種についての植生の季節変化と生殖の季節変化の両方の直接観察と、複数年の観察によって確認された。観察された応答が光周期によって制約されていることを示す証拠はほとんどなかった。我々の結果は、植生活動期間が21世紀末までに、「CO2安定化」の気候シナリオ(+2.6 ± 0.7°C)の下では1~2週間、「高CO2排出」シナリオ(+5.9 ± 1.1°C)の下では3~6週間延びる可能性が高いことを示している。さらに、最も高温のプロットでは、春の深刻な霜降事象の後に重度の組織死も認められた。光周期の変化が開始されないと、緑化開始期の早まりおよび耐霜性の早期喪失が生じたことから、温暖化した世界では春の霜害への脆弱性が高まると示唆される。季節変化する温度の追跡に伴う複数のトレードオフの平衡を保つように進化した植生の戦略は、歴史的な気候においては最適かもしれないが、将来の気候レジームでは最適化されない可能性がある。北方林は、周極的に分布し全球の炭素循環で重要な役割を担っていることから、今回のin situ実験結果は特に重要なものといえる。

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