気候科学:地球温暖化の下での海洋熱波
Nature 560, 7718 doi: 10.1038/s41586-018-0383-9
海洋熱波(MHW)は、極端に高い海面水温が数日から数か月持続する期間であり、最大で数千キロメートルまで広がることがある。近年観測されたMHWの一部からは、こうした極端な気候事象に対して海洋の生態系と漁業が非常に脆弱であることが明らかになった。しかし、MHWの過去の発生事例と今後の推移に関する我々の知識は非常に少ない。本論文では、衛星観測と一連の地球システムモデルシミュレーションを用いて、MHWが過去数十年間ですでに、より長期間継続し、より頻発し、より広くかつより強くなっており、この傾向は今後のさらなる地球温暖化の下で加速すると考えられることを示す。MHWの日数は、1982〜2016年に倍増しており、今後、産業革命以前より1.5°C温暖化する場合には平均で16倍、2.0°C温暖化する場合には平均で23倍増加すると予測される。しかし、全球の炭素排出量削減に関する各国の現行の政策では21世紀末までに地球が約3.5°C温暖化すると予想されており、この場合はMHWが起こる確率は平均で41倍増大することがモデルによって予測された。このレベルの温暖化では、MHWの空間的な広がりは産業革命以前と比べて平均で21倍大きくなり、MHWは平均で112日間継続し、海面水温の最大偏差は2.5°Cに達する。最大の変化は、熱帯太平洋西部と北極海で生じると予測される。現在、MHWの87%が人為的な温暖化に起因すると考えられており、2°Cを超えるどの地球温暖化のシナリオにおいても、この割合は100%近くまで増大する。今回の結果は、地球温暖化の下ではMHWが非常に頻発して極端になり、おそらく海洋生物と生態系がその復元力の限界、さらにはそれを超える状況にすら追い込まれ、不可逆的な変化が生じる可能性を示唆している。

