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エレクトロニクス:ファンデルワールス・ヘテロ構造における励起子フラックスの室温での電気的制御
Nature 560, 7718 doi: 10.1038/s41586-018-0357-y
結合した電子と正孔の対である励起子の操作を利用するデバイスは、光学的なデータ伝送系と電気的な処理系をつなぐ効率の高い相互接続の実現に大いに有望である。バルク半導体系の結合量子井戸において、励起子を用いたトランジスターの動作の実証が成功しているが、動作には低温が必要なため実用化には限界がある。最近、励起子結合エネルギーが大きい二次元半導体が見つかったことで、室温で動作する励起子デバイスや励起子回路が実現される可能性が出てきた。個々の二次元材料は励起子の拡散長が短いが、電子と正孔をヘテロ構造体の異なる層へと空間的に分離することでこの限界の克服が容易になり、メソスケールデバイスの室温動作が実現される可能性がある。今回我々は、六方晶窒化ホウ素で挟んだMoS2–WSe2ファンデルワールス・ヘテロ構造体から作られた励起子デバイスが、電気的に制御されるトランジスター動作を室温で示すことを報告する。このデバイスでは、層間励起子の寿命が長いため、5 μmにわたる距離を拡散する。さらに我々は、このデバイス内で、電気的に再構成可能な励起子フラックスの閉じ込めポテンシャルと反発ポテンシャルを形成することによって、励起子ダイナミクスを操作できることを示す。今回の結果は、今後の励起子デバイスにおいて二次元材料を集積することで室温動作が可能になることを強く主張するものである。

