Article
医学研究:白血病は神経機構を乗っ取って中枢神経系に浸潤する
Nature 560, 7716 doi: 10.1038/s41586-018-0342-5
急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、中枢神経系(CNS)に浸潤しやすいことが知られている。固形腫瘍の脳転移の多くが脳実質に見られるが、ALLの浸潤は脳実質にはあまり見られず、固形腫瘍の浸潤が起こることの少ない軟髄膜において見られる。CNSへの浸潤は、あらゆるサブタイプのALLで起こるが、浸潤に利用される統一的な機構については明らかになっていない。今回我々は、血中のALL細胞がマウスの血液脳関門を突破できず、代わりに脊椎や頭蓋冠の骨髄とクモ膜下腔の間を直接通過する血管に沿ってCNSに浸潤することを明らかにする。これらの橋渡しをしている血管の基底膜にはラミニンが豊富に存在している。ラミニンはCNSにおける神経前駆細胞の経路探索を調整することが知られている。ラミニンの受容体であるα6インテグリンは、ほとんどのALLで発現が見られる。我々は、αインテグリンとラミニンとの相互作用が、in vitroにおいて、ALL細胞の脳脊髄液への移動を仲介することを見いだした。ALLを異種移植したマウスに、ALL細胞のα6インテグリン発現を低下させるPI3Kδ阻害剤や、α6インテグリン特異的中和抗体を投与すると、骨髄中の腫瘍量の減少はわずかだったものの、橋渡し血管に沿ったALLの通過や、脳脊髄液中のALL細胞数、CNS浸潤による症状は顕著に減少した。我々のデータは、ALLに共通して見られるα6インテグリンの発現が、神経の移動経路を使ったCNSへの細胞浸潤を可能にすることを示唆している。

