自己免疫:膵島はインスリンペプチドのエキソサイトーシスを介してリンパ組織と情報交換する
Nature 560, 7716 doi: 10.1038/s41586-018-0341-6
組織特異的な自己免疫は、選択された抗原が主要組織適合遺伝子複合体の感受性対立遺伝子によって提示され、それがT細胞によって認識された際に起こる。しかし、一部の特定の自己抗原が応答を支配し、自己反応性を誘導するのに不可欠である理由は明らかになっていない。非肥満糖尿病マウスでは、インスリンの自然発生的な提示が自己免疫性1型糖尿病の発症に不可欠である。病原性CD4 T細胞の大部分は、抗原提示細胞によるインスリンペプチドの直接提示から生じたエピトープであるインスリンB鎖の12–20セグメント(B:12–20)を特異的に認識する。このようなT細胞は、インスリンを取り込み、プロセシングした後に1残基分ずれた異なるセグメントB:13–21を提示するようになった抗原提示細胞には応答しない。B:12–20を認識するCD4 T細胞は、胸腺での負の選択を免れて糖尿病を引き起こすのに対して、B:13–21を認識するT細胞は自己免疫にはマイナーな役割しか担っていない。B:12–20の提示が膵島で起こっていることは明らかだが、インスリン特異的胚中心はさまざまなリンパ組織で形成されていて、インスリンの提示は広範囲にわたって行われていると考えられる。今回我々はライブイメージング法を用い、CD4 T細胞によるインスリン認識の分布状態をさまざまなリンパ節にわたって記録した。さらに、マウスおよびヒト由来のβ細胞顆粒で、代謝作用で分解されたインスリンペプチド断片が見つかり、この中には病原性エピトープであることが明からなものが含まれていた。このような断片は、グルコースを投与すると循環中に放出され、CD4 T細胞によって認識されて活性化状態を引き起こし、その結果として転写再プログラム化が起こって、糖尿病誘発作用が増強される。従って、膵島のような組織は、異化産物を放出することで自己寛容を常時脅かしていることになる。これらの知見は、重要な自己抗原の作用に内在する自己認識経路を明らかにしたもので、リンパ節の全身的感作によって病原性転帰を急激に引き起こす抗原を標的として検討するための基盤を示している。

