Letter
生物多様性:海水魚の種分化速度における逆の緯度勾配
Nature 559, 7714 doi: 10.1038/s41586-018-0273-1
生物種は、温帯域や極域よりも熱帯域ではるかに多く見られるが、このパターンの進化的および生態学的な原因についてはいまだ議論が続いている。熱帯の海水魚群集は、より高緯度域で見られる冷水魚群集よりもずっと多様で、こうした多様性の緯度勾配に関しては、温暖なサンゴ礁環境が種形成において進化的な「ホットスポット」の役割を果たしているとする説明がいくつか存在する。今回我々は、多様な海水魚にわたり、緯度、種の豊富さ、種分化速度の間の関係を調べた。我々は、全ての条鰭類(3万1526種、うち1万1638種は遺伝的データを伴う)の時間較正した系統樹を構築し、この枠組みを用いて、海洋領域における種分化の空間的動態を描き出した。その結果、種分化速度が最も速いのは熱帯以外の種数の少ない海域であり、高緯度域の魚類系統は熱帯のそれをはるかに上回る速度で新種を形成していることが分かった。種分化が高速なのは、低い海面温度および高い固有性を特徴とする地理的海域だった。我々の結果は、熱帯域が海水魚の多様性において進化のゆりかごの役割を果たしているとする広範な機構を退けるとともに、地球上で最も寒冷な海域がなぜ現在の種形成でホットスポットになっているのか、という新たな疑問を提起するものである。

