地球化学:花崗岩の低温結晶化と地殻の火成活動に対するその意味
Nature 559, 7712 doi: 10.1038/s41586-018-0264-2
花崗岩の構造と組成から、珪長質火山活動の性質、大陸の形成、地球形成の初期段階である冥王代までさかのぼる地球上部地殻のレオロジー特性や熱的性質の手掛かりが得られる。花崗岩の結晶化温度は、こうした現象の多くに関する考えの根拠となっているが、この温度があまり絞り込まれていない可能性を示す証拠が出てきている。一般的なパラダイムでは、花崗岩鉱物集合体は約650~700°Cかそれ以上で全体が結晶化すると考えられている。米国カリフォルニア州のトゥオルミ貫入岩体の花崗岩質は異なる来歴を示している。本論文では、トゥオルミ試料中の石英結晶は、474~561°Cの結晶化温度を記録していることを示す。石英中のチタンによる温度圧力測定と石英中のチタン濃度に関する拡散モデルからは、花崗岩鉱物集合体の相当な割合(例えば、石英の80%以上)が一般に認められている固相線より約100~200°C低い温度で結晶化することが示された。この結果が与える影響は広範に及ぶ。マグマ形成に関する従来のモデルでは、マグマ体が高温である必要があるが、新しいデータは、火山岩は存在している時間の大半で低温であることを示唆している。それは、花崗岩が火山岩の貫入鉱物であり、今回花崗岩の結晶化温度がより低い温度に修正されたことから、マグマが低温で貯蔵されているという観測が裏付けられるからである。これは、火山、鉱床、花崗岩の間の関連性にも影響を及ぼす。つまり、鉱体は地殻の柱の中でその下の花崗岩からの流体放出によって供給されるので、花崗岩流体の温度がこれまで考えられていたよりも数百度低いならば、斑岩鉱床の研究に影響を及ぼすことになる。さらに、地殻の熱的構造の地球物理学的解釈と活動的なマグマ系の温度に対しても影響を与える。

