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免疫学:Hippo/Mstシグナル伝達はCD8α+樹状細胞の代謝状態と免疫機能を連動させる

Nature 558, 7708 doi: 10.1038/s41586-018-0177-0

樹状細胞は自然免疫と適応免疫の間のクロストークを統合している。CD8α+樹状細胞はCD8+ T細胞に抗原を提示し、ウイルス、細菌および腫瘍に対する細胞傷害性T細胞応答を誘導する。CD8α+樹状細胞発生の細胞系列特異的転写調節因子は見つかっているが、CD8α+樹状細胞の機能を選択的に統合する分子経路はまだ明らかにされていない。また、樹状細胞の発生と活性化には代謝の再プログラム化が重要だが、樹状細胞サブセットの代謝依存性と代謝調節の特性はほとんど調べられていない。今回我々は、データ駆動型のシステム生物学用アルゴリズムであるNetBIDを用いて、Hippo経路のキナーゼMst1とMst2(Mst1/2)が、CD8α+樹状細胞の機能と代謝の選択的プログラミングに果たす役割を突き止めた。我々の行ったNetBID解析によって、Hippo経路のキナーゼ活性は、CD8α樹状細胞と比べた場合、CD8α+樹状細胞の方に著しく濃縮していたことが明らかになった。Mst1/2の樹状細胞特異的欠失は、CD8+ T細胞の恒常性と機能、抗腫瘍免疫を崩壊させるが、カノニカルなHippoシグナル伝達を仲介するLats1とLats2(Lats1/2)、あるいはYapとTaz(Yap/Taz)の欠失ではこのような崩壊は起こらない。Mst1/2を欠失するCD8α+樹状細胞は、細胞外タンパク質とコグネイトペプチドを提示してCD8+ T細胞をプライミングできないが、Mst1/2を欠くCD8α樹状細胞はほぼ正常な機能を維持していた。機構的には、CD8α+樹状細胞は、CD8α樹状細胞に比べてずっと強い酸化的代謝を示し、その機能を発揮するための生体エネルギー活性やミトコンドリア動態の維持において、Mst1/2シグナル伝達に非常に強く依存している。さらに、CD8α+樹状細胞によるIL-12の選択的発現は、Mst1/2および非カノニカルなNF-κBシグナル伝達とのクロストークに依存している。我々の知見は、Mst1/2が代謝活性とサイトカインシグナル伝達とを統合することにより、CD8α+樹状細胞の機能を選択的に推進する因子として働いていることを突き止めたもので、免疫シグナル伝達と代謝再プログラム化の間の相互作用が樹状細胞サブセットが持つ独特な機能の基盤となっていることを明確に示している。

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