Letter
神経生理学:サメ類とエイ類における電気受容の分子的チューニング
Nature 558, 7708 doi: 10.1038/s41586-018-0160-9
サメ類やエイ類などの古代から存在する軟骨性の脊椎動物は、微弱な電場を感知して中枢神経系にこの情報を伝える特殊化した電気感覚器官を持つ。サメ類はこの感覚様式を捕食に利用するが、エイ類には同種からの情報感知にも使っているものもいる。今回我々は、サメ類とエイ類の電気感覚細胞を解析し、異なる生理学的特性が行動に関連した感覚チューニングに関与し得るのかどうかを調べた。サメ類とエイ類は、同様の低閾値電位依存性カルシウムチャネルを使って細胞活動を開始させるが、その活動の調節には異なるカリウムチャネルを用いる。サメ類の電気感覚細胞は、特別に適応した電位依存性カリウムチャネルを発現しており、このチャネルが、複雑なリボンシナプスからの最大に近い小胞放出を引き起こすことができる大きな反復的膜電位スパイクを支えている。対照的に、エイ類はカルシウム活性化カリウムチャネルを用い、チューニング可能な小さい膜電位振動を生み出して、刺激依存的な小胞放出を引き起こす。これらの感覚適応は、サメ類では増幅された無差別的な信号感知を支えるのに対して、エイ類では選択的な周波数感知を支えており、このことはこれらの板鰓類の電気受容要件を反映している可能性があると我々は考える。今回の知見は、感覚系が異なる分子的および生物物理学的な改良を介して、動物の生活様式や環境ニッチに合わせて適応していく仕組みを明らかにしている。

