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量子材料:グラフェンナノリボンの磁性エッジ状態とコヒーレント操作

Nature 557, 7707 doi: 10.1038/s41586-018-0154-7

炭素原子の単層ネットワークであるグラフェンは、電気特性や機械特性が極めて優れている。グラフェンのナノメートルスケール幅のリボン(ナノリボン)は、半金属性と量子閉じ込めを示すはずである。グラフェンナノリボンの磁性エッジは、そのコヒーレント操作がスピントロニクスデバイスや量子計算デバイスのマイルストーンとなる可能性があるので、理論的な観点から幅広く研究されている。しかし、ナノリボンのエッジを原子レベルの精度で生成できず、提案されているグラフェンの終端が化学的に不安定であるために、実験的研究は妨げられてきた。今回我々は、スピンを有する安定したラジカルで官能基化した分子グラフェンナノリボンを使用することによって、これらの問題の両方に取り組んだ。我々は、予測された非局在化磁性エッジ状態を観測し、スピンダイナミクスとスピン–環境相互作用の理論モデルを検証した。非黒鉛化参照材料との比較によって、ラジカルで官能基化されたグラフェンナノリボンの特徴的な振る舞いの明確な識別が可能になった。我々は、スピン–軌道結合のパラメーターを定量化し、相互作用パターンを定義し、スピンデコヒーレンスチャネルを決定した。最適化を全く行わなくても、スピンコヒーレンス時間は室温でマイクロ秒の範囲にあり、我々は、エッジスピンとラジカルスピンの間で量子反転操作を行った。今回の取り組みによって、グラフェンナノリボンにおける磁性の理論を実験的に検証する方法が得られる。今回観測されたコヒーレンス時間は、量子スピントロニクスデバイスにおける磁性ナノリボンの利用への有望な可能性を開くものである。

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