構造生物学:ホスホリボシル基で連結されるセリンユビキチン化の触媒と機能に関する考察
Nature 557, 7707 doi: 10.1038/s41586-018-0145-8
通常見られるユビキチン化は、ユビキチン(Ub)と基質タンパク質中の1級アミンとの間にATPに依存してイソペプチド結合を形成する反応を誘発することにより、重要な細胞内過程を調節している。最近、病原性のレジオネラ菌Legionella pneumophilaに由来する細菌エフェクタータンパク質のSidEファミリー(SdeA、SdeB、SdeCおよびSidE)が、宿主タンパク質のセリン残基にホスホリボシル基で連結されるユビキチン化をNAD+を使って行っていることが示された。しかし、この複雑な多段階過程を可能にする触媒プラットフォームの分子構造はまだ分かっていない。今回我々は、モノADPリボシルトランスフェラーゼ(mART)ドメインとホスホジエステラーゼ(PDE)ドメインからなるSedA触媒コアの構造を示し、セリンユビキチン化に関わる2つの異なる触媒部位の働きを明らかにする。mART触媒部位は、αヘリックスが作る1個の小塊状構造(AHL)からなり、これがmARTのコア部分と共に、NAD+の結合とユビキチンのADPリボシル化のための空間を作り出している。PDEドメインの触媒部位は、ADPリボシル化されたユビキチンを切断してホスホリボシルユビキチン(PR-Ub)とし、次いで2段階からなるPR-Ub移動反応を仲介する。その第一段階は、触媒として働くヒスチジン277への移動で、一過的にSdeA H277–PR-Ub中間体が形成され、次いで起こる第二段階は宿主タンパク質中のセリン残基へのPR-Ubの移動である。構造解析により、PDEドメイン中の基質が結合する凹みが明らかになり、これが触媒部位と並置されていることが分かった。この配置は、セリンをユビキチン化しやすい位置に置くために不可欠である。基質の縮退ペプチドと新たに見つかったSdeA基質であるRTN4B内のユビキチン化部位を用いて、標的であるセリン残基を疎水性残基が取り囲み、秩序性のない構造を持つポリペプチドが、SdeAユビキチン化の基質として選好されることが示された。SdeA基質結合変異体を発現しているL. pneumophilaを用いた感染実験から、急性細菌感染の際には、細胞内ユビキチンプールの修飾ではなく基質のユビキチン化がSdeAの病態生理学的作用を決定することが明らかになった。

