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表面化学:ナトリウムイオンの界面輸送に及ぼす水和数の影響

Nature 557, 7707 doi: 10.1038/s41586-018-0122-2

界面におけるイオンの水和や輸送は、さまざまな応用分野や自然過程と関連している。界面の影響は、ナノメートルサイズのチャネルなどの制限された形状において特に大きくなり、そうした場合にはバルク溶液中でのイオン輸送機構が当てはまらない可能性がある。水和イオンの輸送特性と原子構造を相関させるには、界面の不均一性と、イオンと水と表面の複雑な競合相互作用の両方を、分子レベルで詳細に評価する必要がある。今回我々は、走査型トンネル顕微鏡法と非接触原子間力顕微鏡法を組み合わせて用いて、NaCl(001)表面上でナトリウムイオン(Na+)に単一水分子を1~5個順次付着させることによって、Na+水和物を1個ずつ構築した。我々は、水分子が3個水和したNa+イオンが、他のイオン水和物より数桁速い速度で拡散することを見いだした。第一原理計算からは、そうした高いイオン移動度が、Na+イオンの周りの3個の水分子がかなり低いエネルギー障壁で集団的に回転するという準安定状態の存在に起因することが明らかになった。我々の古典的分子動力学シミュレーションによると、このシナリオは室温でも当てはまると思われる。今回の研究結果は、特定の水和数のイオンの異常に高い拡散速度が一般的に、水和物と表面格子の対称性が一致する程度によって決まることを示唆している。

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