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免疫学:微生物代謝産物への応答におけるミクログリアによるアストロサイトの制御

Nature 557, 7707 doi: 10.1038/s41586-018-0119-x

ミクログリアとアストロサイトは、中枢神経系(CNS)における炎症と神経変性を調節する。ミクログリアは、アストロサイトの炎症性活性と神経毒性活性を調節しているが、それに関与する機構についての理解は不完全である。本研究では、ミクログリアが産生するTGFαとVEGF-Bが、多発性硬化症の実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)マウスモデルにおいて、アストロサイトの病的な活性を調節することを報告する。ミクログリア由来のTGFαは、アストロサイトでEbrB1受容体を介して働き、アストロサイトの病的な活性とEAEの発生を制限する。逆に、ミクログリアのVEGF-Bは、アストロサイト内でFLT-1シグナル伝達を引き起こし、EAEを悪化させる。VEGF-BとTGFαは、ヒトでのミクログリアによるアストロサイトの制御にも関与していた。また、CD14+細胞でのTGFαとVEGF-Bの発現は、多発性硬化症の病変段階と相関を示した。そして、片利共生微生物相により産生される食物由来トリプトファン代謝産物は、アリール炭化水素受容体が仲介する機構を介して、ミクログリアの活性化と、TGFαおよびVEGF-Bの産生を制御し、アストロサイトの転写プログラムとCNS炎症を調節する。まとめると、我々はミクログリアによるアストロサイトの制御を仲介する正と負の調節因子を見いだした。さらに、これらの知見から、微生物の代謝産物が、ミクログリアとアストロサイトの病的な活性を制限し、CNSの炎症を抑える経路が明らかになった。この経路によって、多発性硬化症などの神経疾患に対する新たな治療法が導かれる可能性がある。

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