発生生物学:NOTCH1とNRG1による心臓ゼリー動態の制御が肉柱形成の構築プランを決める
Nature 557, 7705 doi: 10.1038/s41586-018-0110-6
脊椎動物の心臓において、心室肉柱心筋は心筋細胞のスポンジ様ネットワークとして発生し、このネットワークは収縮と伝導、心室中隔形成、乳頭筋形成、緻密化という過程を介した壁肥厚に重要である。肉柱形成に欠陥があると、胚性致死や緻密化障害心筋症(NCC)が引き起こされる。異なる動物種において、肉柱形成がいつどのように開始するのかについては、見方が分かれている。ゼブラフィッシュでは、肉柱心筋細胞は緻密心筋から突出するが、ニワトリでは明白な肉柱形成前に房室壁肥厚が起こる。マウスでは、肉柱形成の開始時期は報告されていないが、心筋細胞が放射状の梁を形成する胚性9.0日に始まるのではないかと考えられている。肉柱形成には心内膜と心筋間の情報伝達が必須であり、Notchやニューレグリン(NRG)をはじめとする多数のシグナル伝達経路の関与が明らかになっている。後期のNotch経路の破綻はNCCの原因となる。細胞外マトリックス(ECM)遺伝子のHas2やVcanの変異はマウスで肉柱の形成を阻害し、マトリックスメタロプロテアーゼADAMTS1は肉柱形成の終了を促進することが示されているが、ECM動態に関わる経路や、初期段階での肉柱形成の分子的調節についてはまだ調べられていない。今回我々は、心内膜細胞や心筋細胞の動的な挙動とECMリモデリングを統合したマウスの肉柱形成モデルを示し、それに関わるシグナル伝達経路間の新たなエピスタシスな関係を明らかにした。NOTCH1シグナル伝達は、肉柱単位の個別化に重要な心内膜の突出部の形成中にECMの分解を促進する一方で、NRG1は心筋のECM合成を促進し、これは肉柱の再構成と成長に必須である。これらの系はVegfaのNRG1制御を介して相互に接続するが、拮抗的に働いて肉柱構造を確立する。これらの手掛かりは、マウスNCCモデルにおける持続的なECMの成長と心筋細胞増殖の予測を可能にし、先天的心疾患の病態生理に新たな手掛かりをもたらす。

