大気科学:オゾン層を破壊するトリクロロフルオロメタンの全球排出量の予想外の持続的増加
Nature 557, 7705 doi: 10.1038/s41586-018-0106-2
モントリオール議定書は、クロロフルオロカーボン(CFC)などの大気中のオゾン層破壊物質の量を減らすことで、成層圏オゾン層を保護するために策定された。トリクロロフルオロメタン(CFC-11)の大気中濃度の低下は、1990年代以降のオゾン層を破壊する塩素の大気中の総濃度の低下に対して2番目に大きく寄与している。しかし、CFC-11は、依然として成層圏に到達する塩素の4分の1に寄与しており、成層圏オゾン層の時宜を得た回復には、CFC-11濃度の持続的な低下が必要である。本論文では、遠隔測定地における大気中のCFC-11濃度の低下速度は、2002~2012年は一定であったが、その後の2012年以降は約50%遅くなったことを示す。観測されたCFC-11の濃度低下の減速は、北半球と南半球の間に観測される濃度差の50%の増大や、マウナロア観測所におけるCFC-11と人為的な排出に伴う他の化学物質の間の強い相関の出現と同時期に生じていた。今回の知見の単純なモデル解析から、2006年以降に報告されている生産量はゼロに近いにもかかわらず、2012年以降CFC-11の排出量が年間13 ± 5ギガグラム(25 ± 13%)増加していることが示唆された。三次元モデルシミュレーションによって、CFC-11の排出量の増加が裏付けられたが、この増加は、成層圏の諸過程やダイナミクスが変化した結果として50%程度小さくなっている可能性も示された。CFC-11の排出量の増加は、過去の生産とは関連していないと思われる。これは、報告されていない新たな生産を示唆しており、2010年までに世界のCFC生産を段階的に廃止するというモントリオール議定書の取り決めとは一致しない。

