Letter
社会人類学:青銅器時代から中世の古代B型肝炎ウイルス
Nature 557, 7705 doi: 10.1038/s41586-018-0097-z
B型肝炎ウイルス(HBV)は、ヒトの肝炎の主な原因の1つである。しかし、その進化およびヒトとの関連の時間スケールに関しては、大きな不確かさがある。本論文で我々は、約4500~800年前の完全あるいは部分的な古代HBVゲノム12例について報告する。これらの古代ゲノム塩基配列は、現生人類のHBVクレードまたは他の類人猿のHBVクレードの内部に、あるいはそれらの姉妹系統として位置していた。ゲノムの特徴は概して、現代のHBVのものに一致した。HBV系統樹の根の年代は2万900~8600年前と推定され、ヌクレオチド置換率は1年当たり1部位につき8.04 × 10−6~1.51 × 10−5と見積もられた。複数の例で、古代の遺伝子型の地理的位置と現在の分布とが一致しなかった。現在のアフリカおよびアジアに典型的な遺伝子型と、インドに由来する亜型(subgenotype)は、初期にユーラシアに存在していたことが示された。古代HBVと現代HBVの遺伝子型に認められる地理的パターンおよび時間的パターンは、十分に立証されている青銅器時代および鉄器時代の人類移動のパターンと一致する。我々は、HBVの遺伝子型Aが組換えによって生じたこと、さらには現代HBVの遺伝子型が長期にわたりヒトと関連してきたことを示す証拠を提示する。これらの証拠には、現在は存在しないかつてのヒトの遺伝子型の発見も含まれる。今回のデータは、現代の塩基配列のみの検討では解明できないような、HBV進化の複雑さを明らかにするものである。

