微生物学:排他的な代謝ニッチが腸内微生物相での細菌株の生着を可能にする
Nature 557, 7705 doi: 10.1038/s41586-018-0092-4
腸内の高密度の微生物生態系は、ヒトの生物学的性質の多数の面と密接に結び付いており、腸内微生物相の操作はヒトの健康に広範囲にわたって関与している。個体内に常在する細菌株は、大きな撹乱がなければ、時間を経てもほぼ安定している。対照的に、確立している微生物相に移植された外来性の片利共生菌やプロバイオティクスの運命は多様で、一般的には予測ができず、背景となる微生物相に大きく影響される。従って、細菌株の生着や豊富さを支配する要因の解析は、マイクロバイオームの再プログラム化という新しい分野に非常に重要である。今回我々は、海洋多糖であるポルフィランと、ポルフィランを利用するためのまれな遺伝子クラスターを持つ外来性バクテロイデス属(Bacteroides)細菌株をマウスに投与することで、排他的な代謝ニッチを作り出した。外来性細菌株は栄養を特権的に利用できるため、さまざまな腸内微生物群集が存在するマウスにおいて、予測できる量で確実に生着させることができた。このような選択的な栄養支援は、同系の細菌株による優先的排除に打ち勝つのに十分であり、細菌株の置換を可能にする。我々は、ポルフィランの利用に関わる60 kbの座位をバクテロイデス属のナイーブ株に移入し、ポルフィラン投与量を数桁にわたって変化させて、マウスの腸の細菌株の豊富さの制御を細かく調整した。そしてこの系により、結腸陰窩生態系に新しい細菌株を導入できることを示す。これらのデータは、微生物相の構成細菌となる条件の構築に栄養利用性の影響があることを明らかにし、また、複雑な微生物相の状況で実行できる調査の範囲を拡大し、さらに、腸での細胞を基盤とする治療戦略にも影響を及ぼすだろう。

