量子物理学:量子鍵配送におけるレート–距離制限を量子中継なしで克服する
Nature 557, 7705 doi: 10.1038/s41586-018-0066-6
量子鍵配送(QKD)は、物理法則に基づいたセキュリティーによって、遠方の2者間が暗号鍵を共有することを可能にする。実験的には、QKDは光学的手段で実装されており、鍵レートとしては、50 kmの標準的な光ファイバーにおいて1秒当たり1.26メガビットが、また測定装置無依存の構成では404 kmの超低損失光ファイバーにおいて1時間当たり1.16ビットが達成されている。ビットレートとQKDの距離を増やすことは、非常に困難だが重要な課題である。関連する目標にはQKDにおける根本的なレート–距離制限の克服があるが、これは現在、量子中継なしでは実現不可能と考えられている。この制限は、与えられた距離でQKDを使って2者が蒸留できる最大の秘密鍵レートを限定し、2者を結ぶ量子チャネルの秘密鍵容量によって定量化される。本論文では、QKDの代替スキームについて報告する。このスキームでは、まず2つの離れた位置で位相ランダム化された光電場の対が生成され、次いで中央の測定ステーションで統合される。同じランダム位相を与えられた光電場は「双子」であり、量子鍵の蒸留に使用できる。この双子の光電場を用いたQKDの鍵レートは、測定ステーション管理者の悪意の有無にかかわらず、チャネル透過率の平方根に対して量子中継と同様の距離依存性を示す。しかし、我々のスキームは、量子中継を必要とするスキームとは違い、現在の技術で実現可能であり、550 kmの標準的な光ファイバーにおいてさえ管理できる雑音レベルを示す。このスキームは、QKDにおけるレート–距離の制限を克服し、安全な量子通信の距離を大幅に拡大するための有望なステップである。

