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構造生物学:HIV-1逆転写酵素開始複合体の構造

Nature 557, 7703 doi: 10.1038/s41586-018-0055-9

HIV-1 RNAゲノムの二本鎖DNAへの逆転写はウイルス感染の重要な段階であり、抗レトロウイルス薬の標的としてよく使われている。この反応はウイルスの逆転写酵素(RT)により触媒され、RTは2コピーのウイルスゲノムRNAと共に、感染性のウイルス粒子中に詰め込まれている。ウイルスゲノムRNAはそれぞれ、宿主のリシン3転移RNA(tRNALys3)に結合し、これが逆転写開始のプライマーとして働く。ウイルスが細胞へ侵入する際の転写開始は伸長に比べて遅く、非継続的である。反応開始の際のRT機能の構造基盤は、広く研究が行われてきたにもかかわらず、まだ解明されていない。今回我々はクライオ(極低温)電子顕微鏡を用いて、HIV-1のRT開始複合体の三次元構造を決定した。我々が得た構造では、RTは不活性なポリメラーゼのコンホメーションをとっていて、fingerドメインとthumbドメインは開いたコンホメーションにあり、核酸プライマー–鋳型複合体は活性部位から移動している。tRNALys3とHIV-1のRNAの間に形成されたプライマー結合部位(PBS)のヘリックスはRTの裂け目中に位置し、進んだ対形成により伸長している。tRNAの5′末端はPBS上で再び折りたたまれ、重なって、長いヘリックス構造を作り出しているが、ウイルスRNAの残りの部分はヘリックス状のステムを2本形成していて、これらはRTの活性部位上に位置し、リンカーによって共にPBSのRNアーゼH領域に結合されている。我々の結果は、開始複合体中のRNAの構造がRTのコンホメーションを変化させて活性を低下させる仕組みを示しており、また薬剤作用の標的候補を明らかにしている。

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