幹細胞:ES細胞では多能性因子が細胞タイプに限定されたエンハンサーを機能的に先行標識する
Nature 556, 7702 doi: 10.1038/s41586-018-0048-8
胚性幹(ES)細胞に発現する遺伝子や細胞系譜決定因子のエンハンサーは、ES細胞ではエンハンサー活性化の通常の標識によって特徴付けられるが、細胞タイプに限定された転写単位を調節する運命を担うエンハンサーも、ES細胞で識別可能なシグネチャーを持つかどうかは分かっていない。今回我々は、細胞タイプ限定エンハンサーは、1つあるいは2つのES細胞転写因子の結合によって「先行標識」され、転写単位として活性化されるが、そのようなエンハンサーはES細胞ではエンハンサーの従来のエピジェネティックな標識を示さないことから、細胞タイプ限定エンハンサーの最初の時間的起源が明らかになったことを示す。この先行標識は分化細胞における将来の細胞タイプ限定エンハンサー活性に必要で、ES細胞でのシグネチャーの強度が、細胞タイプ限定エンハンサー活性化のその後のロバスト性に機能的に重要であった。我々は、特定のES細胞転写因子のモチーフを欠失させるように編集した、ES細胞由来のマクロファージあるいは神経前駆細胞(NPC)を用いて、マクロファージ限定エンハンサーやNPC限定エンハンサーでこのモデルを実験的に確認した。ES細胞におけるエンハンサーのDNAのヒドロキシメチル化(ES細胞転写因子によって決定される)は、成熟マクロファージでのその後のエンハンサー活性化の分子記憶として機能している可能性がある。これらの知見から、細胞タイプ限定エンハンサーの膨大なレパートリーは、ES細胞において特定のES細胞転写因子の結合によって、基本的に階層的かつ強制的に先行標識されており、これが成熟細胞でのエンハンサー活性化のロバスト性を決定していることが示唆される。

