Letter

がん:タンパク質ヒスチジンホスファターゼLHPPは腫瘍抑制因子である

Nature 555, 7698 doi: 10.1038/nature26140

ヒスチジンのリン酸化、いわゆる隠れたホスホプロテオームは、あまり解明の進んでいないタンパク質の翻訳後修飾である。本論文では、ヒスチジンのリン酸化が腫瘍発生に果たす役割を明らかにする。mTOR誘発性の肝細胞がんマウスモデルから得られた12の腫瘍のプロテオーム解析により、NME1とNME2(哺乳類のヒスチジンキナーゼは、この2つしか知られていない)の発現が上昇していることが分かった。逆に、ヒスチジンホスファターゼと推定されるLHPPの発現は、腫瘍で特異的に低下していた。我々は、LHPPが実際にタンパク質ヒスチジンホスファターゼであることを示す。これらの観察結果と合致して、肝臓の腫瘍では全体のヒスチジンリン酸化が著しく亢進していた。また、肝細胞がんマウスモデルの肝臓でLHPPを持続的に発現させると、腫瘍量が減少し、肝機能の低下が抑えられた。さらに、肝細胞がん患者では、LHPPの発現の低さは、腫瘍の悪性度や全生存期間の短縮との相関が認められた。このように、LHPPはタンパク質ヒスチジンホスファターゼであり、腫瘍抑制因子でもあることから、ヒスチジンのリン酸化の脱調節が発がんにつながることが示唆される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度