Letter
代謝学:肥満状態で肝細胞が分泌するDPP4は脂肪組織の炎症とインスリン抵抗性を促進する
Nature 555, 7698 doi: 10.1038/nature26138
肥満によって生じる代謝疾患には、複数の臓器の循環性因子による機能的一体化が関わっているが、肝臓と内臓脂肪組織(VAT)とのクロストークについてはほとんど知られていない。肥満の場合、VATには炎症性脂肪組織マクロファージ(ATM)が浸潤する。肥満したヒトでは、脂肪組織の炎症とインスリン抵抗性の間に密接な相関関係が見られ、肥満マウスでは全身性の炎症やATMの炎症を抑えるとインスリン感受性が改善する。しかし、肥満の際に脂肪組織の病的炎症を促進する過程は、十分解明されていない。今回我々は、マウスの肥満は肝細胞を刺激してジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)を合成、分泌させ、これが血漿中の第Xa因子と作用してATMに炎症を起こさせることを明らかにする。肝細胞でのDPP4発現を抑制すると、VATの炎症とインスリン抵抗性が抑えられる。しかし、DPP4阻害剤のシタグリプチンを経口投与しても、同様な影響は見られない。炎症とインスリン抵抗性は、ATMでのカベオリン1やPAR2の発現抑制によっても抑えられる。カベオリン1はDPP4の、PAR2は第Xa因子の作用をそれぞれ仲介する。従って、肥満の際には肝細胞が産生するDPP4がVATの炎症とインスリン抵抗性を促進している。この経路を標的にすれば、DPP4阻害剤の経口投与で観察されるのとは別の代謝的に有益な影響が見られるかもしれない。

