Letter

地球科学:酸化還元の影響を受ける上部マントルのカンラン石の地震波特性

Nature 555, 7696 doi: 10.1038/nature25764

地球の上部マントルにおける地震波の速度と減衰(ひずみエネルギーの散逸)の水平方向の変化によって、温度、主要元素組成、メルトの割合、水の含有量などの重要な特徴の分布を調べることができる可能性がある。こうしたデータを逆解析してさまざまな物理的性質の意味のある描像を得るには、地震波の伝播に影響を及ぼす微視的な力学的過程を確実に理解する必要がある。構造的に結合した水(水酸基)は地震波特性に影響を及ぼすと考えられているが、まだ実験的に定量化されていない。本論文では、カンラン石の地震波特性を、地球内部に相当する不飽和領域内の水含有量の関数として、低周波数強制振動で包括的に評価した結果を提示する。この結果は、地震波の速度と減衰が、実際には水含有量の影響をほとんど受けないことを立証している。むしろ、地震波特性に大きな影響を及ぼしているのは、使用した金属容器の種類によって課される酸化還元条件とそれに伴う欠陥の化学的性質であるように思われる。こうした知見は、水含有量の増加が上部マントルにおける低速度層や高減衰構造の原因ではないことを示唆している。そうではなく、上部マントルの酸化した含水領域(沈み込み帯の上部など)で見られる高い減衰は、酸素フガシティーが支配的であることを反映している可能性がある。さらに、今回のデータは、リソスフェアとアセノスフェアの明瞭な境界が、水の存在によって増強された粒界すべりで説明できるとする仮説の裏付けとはならない。

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