Article
微生物遺伝学:ヒト腸の微生物相形成に際しては環境が宿主の遺伝的性質より優位になる
Nature 555, 7695 doi: 10.1038/nature25973
ヒト腸のマイクロバイオーム組成は多数の要因によって形作られるが、宿主の遺伝的性質の相対的な関与度については分かっていない。今回我々は、比較的共通の環境を共有し、複数の異なる祖先起源のいずれかを持つ健常者1046人の遺伝子型とマイクロバイオームデータを調べた。その結果、腸のマイクロバイオームと遺伝的祖先との間には有意な関連が見られないこと、また、宿主の遺伝的性質がマイクロバイオーム組成の決定に担う役割は大きくないことが実証された。対照的に、同居しているが遺伝的関係のない被験者たちのマイクロバイオーム組成には有意な類似性があり、個人間のマイクロバイオームのばらつきの20%以上は、食餌、薬剤、身体測定値に関係する要因と関連することが明らかになった。さらに、宿主の遺伝的および環境的なデータのみを用いたモデルと比べた場合、マイクロバイオームデータはグルコースや肥満の測定値などの多数のヒト形質の予測精度を大きく改善することが分かった。これらの結果から、臨床転帰の改善を目的としたマイクロバイオーム改変は、さまざまな遺伝的背景にわたって実行可能であると考えられる。

