Letter

分子生物学:カイコガの生殖系列のpiRNA生合成におけるミトコンドリア局在因子PapiおよびZucchiniの階層的役割

Nature 555, 7695 doi: 10.1038/nature25788

piRNA(PIWI-interacting RNA)は、調節性の小分子RNAで、PIWIタンパク質に結合して、動物の生殖系列においてトランスポゾンを制御し、ゲノムの完全性を維持している。カイコガ(Bombyx mori)におけるpiRNAの3′末端の形成は、3′→5′エキソヌクレアーゼであるTrimmer(Trim;哺乳類ではPNLDC1として知られる)によって仲介されることが示されており、piRNA中間体は、ミトコンドリアのTudorドメインタンパク質Papi上に繋留されたPIWIタンパク質に結合する。Zucchini(Zuc)エンドヌクレアーゼとNibbler(Nbr)3′→5′エキソヌクレアーゼは、どちらもショウジョウバエ(Drosophila)のpiRNA生合成において非常に重要な役割を担っているが、この2つが他の種でもpiRNAのプロセシングに必要であるかどうかは分かっていない。今回我々は、カイコガにおいてZucを欠損させてもTrimとNbrのレベルには影響を及ぼさないが、Papi複合体内にpiRNA中間体の異常な蓄積を引き起こし、これらは組換えZucによりプロセシングを受けて成熟piRNAを形成することを示す。PapiはPIWIタンパク質と結合してリン酸化された時のみ、RNA結合活性を発揮したことから、複合体の組み立てには階層的な過程が関与していると考えられる。Papi複合体内のpiRNA中間体の5′末端と3′末端の両方が、PIWIタンパク質による「切断」活性の特徴を示したが、成熟piRNAにはフェージングパターンは観察されなかった。Zucの欠損はこの中間体の5′末端および3′末端の形成には影響を及ぼさなかったことから、カイコガのpiRNAの5′末端は、Zucには依存せずPIWIタンパク質の切断活性によって形成され、一方、3′末端はZucエンドヌクレアーゼによって形成されるという考えが強く裏付けられた。カイコガはフェーズのあるpiRNAに依存する転写サイレンシング装置を持たないので、カイコガのpiRNA生合成装置はショウジョウバエの装置より単純である。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度