ナノスケール材料:単層原子結晶分子超格子
Nature 555, 7695 doi: 10.1038/nature25774
グラフェンや二硫化モリブデンなどの二次元原子結晶のファンデルワールスヘテロ構造に基づく人工超格子によって、既存の材料では到達できない技術的な機会が得られる。こうした人工超格子を作製する典型的な手法は、骨の折れる層ごとの剥離と再積層に依存しており、歩留まりと再現性が低い。化学気相成長法を用いるボトムアップ手法では、高品質のヘテロ構造体が得られるが、高次の超格子の作製はより困難になる。選択された二次元原子結晶へのアルカリ金属イオンのインターカレーションは、超格子構造を作る代替法となるが、安定性に乏しく、電子特性が大きく変化してしまうことが多い。本論文では、単層原子結晶と分子層が交互に積層した新しいクラスの安定した超格子を作る電気化学的分子インターカレーション法を報告する。我々は、黒リンをモデル系として用いて、臭化セチルトリメチルアンモニウムをインターカレートすると単層フォスフォレン分子超格子が得られ、この超格子では、層間距離が黒リンの2倍以上になり、フォスフォレン単層が効果的に分離されることを示す。単層フォスフォレン分子超格子で作ったトランジスターの電気的輸送を調べたところ、優れた移動度と安定性とともに、107を超えるオン/オフ電流比が示された。さらに我々は、二硫化モリブデンや二セレン化タングステンなどのさまざまな異なる二次元原子結晶に、サイズと対称性がさまざまな第四級アンモニウム分子をインターカレートして、分子構造、層間距離、相組成、電子特性、光学特性を調整した幅広い超格子群を作製できることを示す。今回の研究によって、基礎研究と潜在的な技術的応用のための汎用的な材料プラットフォームが明示された。

