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神経科学:ケタミンは外側手綱核でのバースト発火を防いでうつを速やかに緩和する

Nature 554, 7692 doi: 10.1038/nature25509

N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)のアンタゴニストであるケタミンは、即効性の抗うつ作用を持つため、メンタルヘルス研究において大きな注目を集めているが、その作用機構はまだ分かっていない。今回我々は、ラットとマウスのうつ病モデルにおいて、「抗報酬中枢」である外側手綱核(LHb)でのNMDAR依存的なバースト活動の阻害が、ケタミンの急速な抗うつ作用を仲介することを示す。うつ病様の動物のLHbニューロンは、バースト活動とシータ帯域同調が顕著に増加しており、これらの増加はケタミンにより解消する。LHbのバーストを光刺激によって誘発すると、行動的絶望や無快感症が引き起こされた。薬理学実験やモデル化実験で、LHbバーストにはNMDARと低電位感受性T型カルシウムチャネル(T-VSCC)の両方が必要であることが分かった。さらに、LHbのNMDARやT-VSCCを局所的に阻害するだけで、急速な抗うつ効果を誘導するのに十分だった。我々の結果は、ケタミンがLHbニューロンでのNMDAR依存的なバースト活動の阻害により急速に気分を高揚させて、下流のモノアミン作動性の報酬中枢を脱抑制するという単純なモデルを示唆しており、新たな即効性の抗うつ剤開発への枠組みを提供している。

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