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免疫学:c-MAF依存性の制御性T細胞は腸の病原性共生生物に対する免疫寛容を仲介する

Nature 554, 7692 doi: 10.1038/nature25500

微生物と宿主の遺伝的要因は共に、自己免疫疾患の発症機序に関与している。炎症性腸疾患の場合のように、慢性炎症を増悪する微生物種は健常者にも定着していることが多く、その証拠が集まりつつある。ヘリコバクター属(Helicobacter)の細菌を含むこのような微生物種は病原性T細胞を誘導することがあり、まとめて病原性共生生物と呼ばれている。しかし、健常者でこのような病原性T細胞の出現が制限される仕組みはまだ解明されていない。今回我々は、病原性となり得るHelicobacter hepaticusに対する宿主の寛容が、RORγt+FOXP3+制御性T(iTreg)細胞の誘導を介して生じること、iTreg細胞は炎症性の17型ヘルパーT(TH17)細胞を選択的に抑制し、またiTreg細胞の機能は転写因子c-MAFに依存していることを報告する。野生型マウスにH. hepaticusを定着させると、大腸でRORγtを発現する微生物特異的iTreg細胞の分化が促進されたが、疾患感受性のIL-10欠損マウスではこうした現象は見られず、腸炎惹起性の17型TH細胞の増殖が起こった。Treg細胞区画でc-MAFを不活性化すると、細菌特異的iTreg細胞の分化が障害され、IL-10産生低下などの機能障害も見られるようになり、H. hepaticus特異的な炎症性17型TH細胞が集積して、大腸炎が自然発症した。対照的に、Treg細胞でRORγtを不活性化しても、細菌特異的Treg細胞とTH17細胞のバランスにはわずかな影響しかなく、炎症は起こらなかった。我々の結果は、病原性共生生物依存性の炎症性腸疾患が、このようなc-MAF依存性のiTreg–TH17恒常性維持機構から逃れた微生物相反応性T細胞によって引き起こされることを示唆している。

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