細胞生物学:ミトコンドリア–リソソーム間の接触はRAB7 GTP加水分解を介してミトコンドリアの分裂を調節する
Nature 554, 7692 doi: 10.1038/nature25486
ミトコンドリアとリソソームは共に、細胞の恒常性維持に不可欠であり、多くの疾患でこの2つの細胞小器官の機能不全が観察されている。ミトコンドリアは非常に動的な小器官で、分裂と融合を繰り返してミトコンドリアの機能的ネットワークを維持し、これが細胞の代謝の原動力となっている。リソソームも同様に、RAB7 GTPアーゼによる動的な調節を常時受けている。RAB7 GTPアーゼは、GTPの結合した活性状態から、GTP加水分解を経てGDPの結合した不活性な状態へと変わるサイクルを繰り返す。今回我々は、電子顕微鏡、構造化照明顕微鏡、高時空間分解能共焦点ライブセルイメージングを用いて、ミトコンドリア–リソソーム間に膜接触部位が形成され、調節を受けていることを明らかにする。ミトコンドリア–リソソーム間の接触は異常の無い未処理細胞で動的に形成され、損傷したミトコンドリアが分解のためにリソソームへと運ばれる場合とは異なっていた。接触部位の形成はGTPが結合した活性型のリソソームRAB7によって促進され、接触の解消を仲介するのはRAB7 GTPアーゼ活性化タンパク質TBC1D15で、これがFIS1によってミトコンドリアへと誘導されてRAB7 GTPの加水分解を引き起こし、接触を解除する。機能的には、リソソームの接触点がミトコンドリアの分裂部位の印となるので、リソソームによるミトコンドリアネットワークの調節が可能になる。逆にミトコンドリアの接触は、TBC1D15を介してリソソームのRAB7の加水分解を調節する。従って、ミトコンドリア–リソソーム間の接触により、ミトコンドリアやリソソームの動態の双方向性の調節が可能になっていて、これはヒトのさまざまな疾患でこの2つの細胞小器官に機能不全が観察されることの説明となるかもしれない。

