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免疫学:自然免疫および適応免疫に関わるリンパ球は順次働いて腸内微生物相や脂質代謝を形作る
Nature 554, 7691 doi: 10.1038/nature25437
哺乳類の腸には多数の微生物が定着しており、まとめて微生物相と呼ばれていて、宿主とは相利的な関係にある。通常、腸の微生物相は個体発生の過程で成熟し、バランスのとれた共生状態になり、この状態の特徴は有害な炎症が存在しないことである。自然リンパ球(ILC)サブセットと従来的なT細胞のサブセットは微生物病原体の封じ込めや除去に重複する機能を担っていると考えられているが、これらの2つの主要なリンパ球系細胞集団がそれぞれ、成熟した共生型マイクロバイオームの形成に関わり、組織恒常性の維持を助ける仕組みは分かっていない。今回我々は、高度多重化定量評価画像法を用いて、CD4+ T細胞を欠損するマウスの3型ILCや腸上皮細胞では、インターロイキン23(IL-23)およびIL-22によって誘導されるリン酸化STAT3という特徴が大規模かつ持続的に見られることを示す。対照的に、正常な免疫能を持つマウスでは、リン酸化STAT3活性化は離乳時の微生物の定着によって一過的に誘導されるだけである。初期に見られるこの特徴は、共生細菌数の増加に応答してCD4+ T細胞免疫が生じるのに伴って消失する。生理学的には、適応免疫に関わるCD4+ T細胞活性が見られない場合に起こる3型ILCからのIL-22の持続的産生が、小腸で脂質輸送体の発現を低下させることで、宿主の脂質代謝を障害する。これらの知見は、正常な発生過程で自然免疫および適応免疫に関わるリンパ球がそれぞれ異なるやり方で順次働いて、定常的な共生状態や組織代謝恒常性を確立する仕組みについての新しい手掛かりをもたらすものである。

