海洋ウイルス学:尾部を持たない二本鎖DNAウイルス類の主要系統は、海洋細菌のこれまで知られていなかった消失要因である
Nature 554, 7690 doi: 10.1038/nature25474
地球上に最も多く存在するウイルスは、細菌に感染する二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスと考えられている。しかし、尾部を持ち細菌に感染するdsDNAウイルス(カウドウイルス目)は、塩基配列コレクションおよび培養コレクション中では群を抜いて多いが、ウイルスの環境内多様性を表してはいない。実際、海洋から採取されたサンプル中では尾部を持たないウイルスが数的に圧倒的な優位を占めることが多く、このようなウイルスの性質についての基本的な疑問が生じている。今回我々は、10キロ塩基の短いゲノムを持つ、尾部のない海洋dsDNAウイルス群の特性を調べた。このウイルスはヴィブリオ科の細菌に感染するウイルスの多様性を定量化する研究の際に単離されたもので、我々はAutolykiviridaeと命名することを提案しており、DJR(double jelly roll)キャプシドウイルスの古代系統内の新規な科に相当する。生態学的には、Autolykiviridaeのメンバーは幅広い宿主域を持ち、4つのヴィブリオ種について平均して34の宿主を殺す。これとは対照的に、尾部を持つウイルスは1種の細菌について平均して2つの宿主しか殺さない。Autolykiviridae科ウイルスの生化学的および物理的特性を調べたところ、ウイルス粒子の特徴を複数持つことが明らかになり、これが塩基配列解読や培養による研究でDJRウイルスが体系的に欠落してしまう原因となっていたことが分かった。こうした欠落は、実験手順上の簡単な調整によって回復できるので、その方法についても述べる。我々は、主要な細菌門とアーキア門の多様なゲノム中、また海水柱と堆積物のメタゲノム中にDJRウイルスが存在することを突き止め、DJRウイルスの多様性が、現在捉えられている既知の3つの科からなる多様性をはるかに超えるものであることを見いだした。まとめるとこれらのデータは、尾部を持たないdsDNA DJR系統のウイルスは、細菌およびアーキアの重要だがしばしば見落とされてきた消失要因であって、尾部を持つウイルスに対してよりも微生物系の方に対して、本質的に多様な形式での捕食圧および遺伝子移入という影響を及ぼしていることを示唆しており、これは細菌–ウイルス間の相互作用に関する全ての環境モデルの基盤となっていると考えられる。

